緑川ゆき
Monday, June 21, 2004
[comic, 緑川ゆき]
以前朝日新聞でも取り上げられていた作家さんです。
「アツイヒビ」。文学を感じさせる少女漫画、という主旨の記事だったかな。ある学校を舞台にした3つの短編と、初期の短編が収録されています。作画は好き嫌いがわかれると思うけれど、画面やエピソードの構成が秀逸で惹きつけられる作家さん。この人の作品を読んでると、「漫画」という媒体の可能性を改めて考えさせられます。言葉と視覚の両方を駆使できるってすごいですよね。例えば「蛍火の杜へ」。アツイヒビに続く2冊めの短編集の表題作です。けだるく鬱蒼とした夏のイメージが黒っぽい画面からうかがえますし、とくに最後の方の見開き部分は圧巻。切なく微妙な心情は言葉では絶対に表現できないし、伝わらない。この作品にはコミックというメディアが最適なんでしょう。
多くの人にメッセージを送るメディアとして、例えば純文学とコミックはどちらが優秀なのだろう、と考えることがあります。コミックを低俗だと馬鹿にする方がいますけど、売上はコミックの方が圧倒的。より多くの人に読んでもらうには、コミックに分があるようにも思えます。量より質だとおっしゃる方もいらっしゃいますが、コミックが質で劣るという統計結果が(多分)あるわけでもないし。メディアの種類で読む前に作品を評価してしまうのは、すごくもったいないんじゃないかなーって思います。