サマー/タイム/トラベラー(2)
Saturday, August 6, 2005
[SF, 新城カズマ]
新城カズマさんの「サマー/タイム/トラベラー」の2巻を読みました。あとがきにあるように、宇宙人も、光線銃も、巨大怪獣も、銀河帝国も、未来都市を闊歩する人造人間も登場しないけれど、まっとうなSF。
語られているのは現代のはずなのに、懐かしさを感じさせる夏の情景。もしあのときこうしていれば、という後悔の連続と、戻れない日々への憧憬。過去と、現在と、ありえたかもしれない無数の可能性の交錯。どんな事象にも理屈を構築したがる高校生と、説明できることだけでは構成されていない世界。未来への諦観と閉塞感。それでも、先を歩いている少女がいるから、前へ進むことができる。
ミステリ的な要素は蛇足にも思えましたが、大きな喪失を感じさせながらも清清しさの漂う青春小説でした。エンドマークの後に提示された地図を見たときには何とも感慨深かったです。自分の直感を信じて手にとってよかったと思えるお話でした。うだるような暑い日にぴったり。