クドリャフカの順番 「十文字」事件
Monday, August 22, 2005
[mystery, 米澤穂信]
「氷菓」「愚者のエンドロール」に続く、神山高校古典部シリーズ。前作を読んでいなくても理解できる構成だけれど、読んでいないと登場人物たちの行動原理がわかりづらいかなと思います。私はこれを読みたくて前2作を読んだので、楽しく読むことができました。
待望の文化祭を前に、古典部では手違いで文集を作りすぎてしまった。大量の在庫を前に頭を抱えている部員たちは、少しでも在庫を減らそうと宣伝活動に勤しむ。一方、文化祭に沸く学内では連続盗難事件が発生していた。古典部部員たちは宣伝活動の一環として事件の解決を試みる。
元学校祭実行委員としては、文化祭の浮き足立った描写は非常に楽しかったです。5ページにわたる『カンヤ祭の歩き方』の各団体の企画紹介を読むだけでもわくわくしました。非日常のざわついた雰囲気と、それにのせられるかのように「自分らしくないこと」に挑戦して葛藤する人たちとの対比が秀逸。犯人を含む登場人物たちの葛藤は青春としかいいようがなく、誰が悪いのでもない分、やりきれなさが残ります。キャラクター小説にしては登場人物を突き放していて、推理小説にしては謎解きが肝ではないので、やはりこれは青春小説なのだと思います。
唯一残念だったのは、「クドリャフカの順番」というタイトル。とても魅力的なのですが、それが内容にほとんど関わってこなかったのが非常に残念です。副題の「十文字事件」の方が内容をあらわしているけれど、それだとタイトルとしては弱いか。
12月23日追記:私が持っているのは第二版ですが、この本の初版には誤植があるようです。米澤穂信さんのウェブサイトに正誤表が掲載されているので、初版をお持ちの方は見てみるといいと思います。